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72時間でミッションをこなす、クールな集団。


世界各国から集まったDIYer (DIYをする人)が街を変えるプロジェクト「72 HOUR URBAN ACTION (セブンティツー・アワー・アーバン・アクション)」(略して72HUA)をご存知だろうか?

トレードマークはオレンジ色のお揃いのオーバーオール。どこかクールに見える。


そんな彼らに与えられた制限時間は72時間。公共施設などを改善し、よりよい街にするというチャレンジ。

2010年9月、イスラエルで初めて実施された。世界中から、デザイナー、建築家、職人など、120名が参加し、10チームに分かれて、それぞれに課されたミッションを遂行。コンペティション方式で、互いの成果を競い合う。言えば、DIYのオリンピックのようなものだ。


「最も大切なのはチームワーク。なので、もちろん図面が書けたり、読めたりするに越したことはないが、全員が建築やデザインの専門知識を持っている必要はありません」と、 できないならばできる人とチームになって参加することを勧めている。また、72HUAの公用語は英語。そのため「英語力」は必須だ。「正確な人数や割合は 教えられないが」と前置きされたが、本家イスラエルだけでなく、ロシア、モロッコ、アメリカ、韓国、イタリア、台湾、トルコ、ブルガリア、ドイツなどから個人やチームでの応募があるという。その中から、72HUA側でスキルのバランスをみて、多国籍な10人のチームを構成する。各チームには、宿泊施設とオレンジのユニフォーム 、機材を運ぶトラックなど必須ツールの他、それぞれ2,500ドル(約30万円)の予算が与えられ、その中で必要材料を調達する。優勝すると創作作品が「半永久的に」保存される権利と、賞金(同コンテストでは3,800ドル、約46万円)が授与される。


「公共スペースを変えようと、1から設計して創り上げる作業は、困難で時間がかかるもの」という概念を覆したかった。「設計術そのものは効率的であることは間違いない。だから、人が本気で力を合わせれば、たった72時間でも街を変えることができる」と証明したい。と創設者のKerem Halbrecht(カレム・アルブレヒト)は述べている。なんとパワフルな発想だろう。僕はこの集団を初めて見た時、とてもパワフルでかっこいいと思った。口に出して行動しないのではなく、とことんまでやる。そこがかっこいい。


ここで誤解して欲しくないことは、72HUAが決して作り手たちの「エゴ」による創作コンテストではないということだ。どんなに斬新でクールなものを創ったとしても、使う人々のニーズをくみ取っていなければならない。まずはその街に暮らす地元の人々と話し合い、ニーズをくみ取り何が有効かを見極め、デザインし、組み立ててカタチにする。あくまでも「公共スペースの改善」。自分たちだけの「エゴ」だけでは優勝はできないのだ。


72HUAがクールに見えるのは、単にスキルの高さだけでなく、プランニングから実践において現地のニーズに徹底的に受け入れ、その改善のために「72時間」を最有効活用しているからではないだろうか。日本でもぜひ開催してほしい。





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